3643589b.jpg今日は秋分。
暑さ寒さも彼岸まで…言葉通りに今日は涼しくて、随分と過ごし易くなりました。でも我が儘なもので、急に涼しくなると何だか寂しくなってしまいます。
21日、久々に舞台を勤めました。日本舞踊協会 東京支部 城東ブロックの会で、『都風流』を踊りました。
今回はお便りできなくてご案内できなかった方が多かったので、ご無沙汰のお詫びかたがた、舞台のご報告をさせて頂きます。

劇作家、俳人…と多才な顔を持つ 久保田万太郎の作で、作曲の名手 吉住慈恭・稀音家浄観コンビによる作曲のこの曲は昭和22年に発表された長唄の新曲です。ここで言う都は東京のこと。久保田万太郎氏が生まれ、好んだ浅草を中心とした界隈の、初夏から歳の暮れまでの風物を描いたもので、古き良き時代の風情〈江戸情緒〉が感じられる作品です。
今回は浅草公会堂でしたので、土地に因んだものを踊ることができたのは幸せなことでした。
曲中、様々な市が季節を追って登場しますが、千成市(ほおずき市)、草市に行った時のことを思い出したり、これからの べったら市、酉の市に思いを馳せたりするのも楽しく、この曲が私はとても好きなのです。私は生粋の下町っ子ではありませんが、あの市の賑わいや風景には心踊るものがあります。
早、9月も20日を過ぎて、もう少しで実際の べったら市の頃になります。この曲のように、今年もあっという間に歳の暮れを迎えそうな気がしています。
今も残る べったら市や酉の市、歳の市。今年は幾つ行けるでしょうか。
ゆとりがない日常だからこそ、市を覗く心の余裕を持ちたいと思う今日この頃です。